自主共済を、改正保険業法で危機にさらす政府・金融庁の暴挙に抗議し、
各団体の共済を存続させるため、政府・金融庁は直ちに善処するよう要求する
政府は、改正保険業法に係る政省令を閣議決定し、3月10日公布した。
「保険業法等の一部を改正する法律」の趣旨は、共済の名前を借りた無認可保険業者(いわゆる「ニセ共済」)から消費者を保護することであったが、自主的で健全に運営している共済の存続を求める広範で切実な国民の要求に反して、今回公布の政省令で健全な共済まで保険業とみなして規制することは断じて容認できない。
各団体が自主的に運営する共済制度の多くは、保険商品では賄うことが出来ないことから、会員相互の助け合いとして自ら作り運営してきたもので、加入者の生活を保障し、地域の医療や経済を支える上でも重要な役割を担っている。こうした共済を保険業法によって規制することは、共済加入者の生活権を侵害するものである。
法案審議で伊藤国務大臣(当時)は、現にさまざまな団体が自主的に行っている共済の「実態に配慮」し、「共済の果たして来た役割を評価していかなければならない」旨答弁したが、今回の政省令はこうした大臣答弁をもないがしろにしたものである。法改正の審議に関わった金融委員からも、健全に運営されてきた共済にまで規制・監督が及ぶことになるとは想像していなかったとの発言が寄せられており、国会審議をも無視した金融庁の暴挙といわざるをえない。また、政省令案の公表時期が大幅に遅れた上、パブリックコメントの結果の公表が閣議決定後となったことも問題である。
これまで各団体は、それぞれの共済制度の現状や歴史的背景などを金融庁はじめ関係各国会議員などに訴え、何十万もの署名や要請書を提出し、金融庁に適用除外を要求してきた。こうした国民の声に全く耳を傾けず、政省令を公布した責任は重大であり、政府・金融庁に強く抗議する。
衆議院の予算委員会と財務金融委員会では、複数の議員が保険業法で自主共済を規制しないよう質し、これに対して与謝野金融担当大臣は、「よく実態を把握しながら、きちんと相談にのり、共済を行っている団体が今後とも運営できるように、できる限りのことをしたい」旨答弁した。金融庁は、この答弁を重く受け止め、大臣答弁を生かした対処を要求する。
政省令は互助会などに「配慮」した措置を講じたというが、小規模な団体(相手方とする者の総数が5000人以下)の供託金等を減額(1000万円→500万円)する経過措置を盛り込んだくらいのもので、実質的な配慮はなされていない。少額短期保険業者が取り扱いえる一つの保険契約は、被保険者の数を100人以下と抑えており、自主的な共済を運営する団体が、共済を存続するにはあまりに不合理が多く、少額短期保険業者での対応はほぼ不可能なものである。結局この「配慮」なるものは、これから営利を目的に少額短期保険業者を立ち上げて、100人以内の保険契約者をたくさん獲得しようとする業者を利するものでしかない。
当会は、政府に対し、今回の保険業法改正の趣旨と法改正に至る経緯等をふまえ、各団体が、その組織の目的のひとつとして会員のために自主的に運営している共済制度を今後とも健全に運営できるよう、実効性のある施策を直ちに講じ、善処するよう強く要求する。
2006年3月15日
共済の今日と未来を考える懇話会
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