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シンポジウム「新保険業法で共済活動が継続できない」
27団体、56人が参加




― シンポジウムの概要 ―

 「共済の今日と未来を考える懇話会」(以下、「懇話会」)は、5月22日、東京の星陵会館で、自主共済の存続を訴えるシンポジウムを開催し、27団体(4マスコミ)から56人が参加しました。
 シンポジウムには、書店組合団体や税理士・弁護士団体、国会議員の他、労働組合や制度共済の団体などからも多数参加し、新保険業法の問題点や今後の運動について討論しました。
 討論に先立ち、「懇話会」に参加する日本勤労者山岳連盟(労山)、全日本民主医療機関連合会(民医連共済)、全国商工団体連合会(全商連)、全国保険医団体連合会(保団連)の各団体から報告を行い、それぞれの制度の生い立ちをふまえ、法改正の経緯や問題を指摘しながら、各団体が行う共済制度を今後とも存続できるよう訴えました。
 参加した広津素子議員(自民・衆議院財務金融委員)は、今後委員会で取り上げるうえで各団体の実態を勉強したい旨述べられました。また、佐々木憲昭議員(共産・衆議院財務金融委員)は、健全に自主的な運営をおこなってきた共済にまで規制すべきではない。今後ともこの問題に取り組んで行きたいと述べられました。国会議員関係ではこの他に、法施行前の自主共済を守るための国会要請行動に際して好意的に応じてくださった谷博之議員の秘書(民主・衆議院厚生労働委員)も参加されました。
 4団体の報告の後、討論では、「共済も保険」と定義が変更されたことは、労働組合などが行う共済や、制度共済を運営する団体にとっても保険業に組み込まれたことを意味しており、見過ごしにできない重要な問題である、一緒に運動に取り組みたいとの意見も出されました。
全商連の西村副会長は閉会あいさつで、「運動や学習するなかで、保険業法は無理のある法律というのが明らかになった。さらに国会内外で運動を強め、適用除外をかちとろう」と、今後とも国会議員や金融庁への要請行動を行っていくことや、国民に幅広く呼びかけるための個人署名の取り組み等を訴えました。



(司会:全商連西村副会長)

― 討論に先立つ各団体の報告(要旨) ―


労山 斉藤理事長
 労山は、登山ブームの70年代に年間100〜150人が亡くなるなど事故が相次いでいました。遭難事故は、リスクが高いため保険では掛金が高額となってしまうことから、構成員向けの独自の助け合い制度として『労山遭難対策基金』を発足させました。
 労山では、事故給付だけでなく、事故を事前に防ぐことを重視し、遭難事故対策や『雪崩講習会』等などの教育活動を行っています。『雪崩講習会』は、以前から文部科学省に要請してきましたが、実現しなかったことから、労山として取り組んできました。
 遭難対策基金は、構成員のみを対象としており、保険とは性質が異なります。長年高度な自主と自治により健全に運営してきました。新保険業法は労山の活動そのものにも大きな支障をきたします。ほかの自主的で健全に運営している共済制度も含め、この法の適用対象にしないことを強く求めます。



民医連共済 伊藤前専務理事
 民医連共済は、民間の病院・医療従事者の賃金が低い中で、助け合いの互助会として1972年に発足し、療養給付の他にも、文化・スポーツ活動や、心身の健康を守るための学習会といった福利・厚生活動を含めた共済として運営しています。
 国会審議でも伊藤国務大臣(当時)は『実態に配慮』し『共済の果たしてきた役割を評価していかなければならない』旨の答弁をしています。こうした声を反映し、会員のための共済として自らの自治によって健全に運営してきた共済を守るため、各団体と協力して適用除外を求めていきたいと思います。


全商連 西村冨佐多副会長
 全商連では、業者さん達の営業とくらしを守ることを目的としており、いのちと健康をまもる助け合い制度として、1984年に全商連共済会を発足させました。共済会では、集団健康診断活動などに積極的にとりくみ、病気の早期発見・治療に努めています。また、『いのちと健康を守る学習交流会』など多彩な活動をすすめています。
 共済会の目的は命と健康をお互いに守っていくことを前提としており、会費の9割を見舞金などで支払っています。会員のための共済は性格が異なり、保険にはあたりません。
 憲法21条では、団体の運動と活動を保障しています。会員のための自主的な共済制度に対して、保険業法を理由とした団体自治への介入は憲法違反です。
 現在、全国で適用除外を求めて金融委員へはがきで要請し、署名で運動を広げています。大いに奮闘していきたいと思います。




保団連 住江憲勇会長
 保団連の共済制度は、開業医が休業したときは、自らの療養や生活の費用手当てだけでなく、従業員の給与と、地域医療を守るための代診医の費用も保障できる制度をめざして、1970年に保険医休業保障共済制度として発足しました。これまでに、閉院をまぬがれたなどの会員の声が数多く寄せられています。そのような制度がなぜ営利保険と同列にみなされて保険業法の適用を受けなければならないのでしょうか。金融庁の独断は決して許されるものではありません。
 政府は自主共済が継続して運営できるよう可能な限り対応するとして、供託金を削減するなどの『特別措置』を設けましたが、これは少額短期保険事業者への措置であり、各団体が共済を存続できるものでは決してありません。これまで健全に運営してきた団体が、今後とも共済活動を継続できるよう、再度の法改正を求めます。