2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16
23 24 25 26 27 28 29


○大門実紀史議員 大門でございます。
 新保険業法の施行に伴って、自主共済がどうなっていくのかということが今大変な事態になっております。衆議院では自民党も民主党も質問をされまして、民主党では今議員立法も準備されているというふうな党派を超えた問題になってきております。
 この問題、金融庁と法案審議の段階から、最初から議論してきた人間として、幾つか本質的なところを質問したいというふうに思います。
 まず最初に教えていただきたいんですけれども、現時点での全体状況ですけれども、この共済、今回の適用に伴っていろんな団体が、団体の数がどれぐらいあって、届出申請あるいは解散、廃業という状況の数字をまず教えていただけますか。

○佐藤政府参考人 いわゆる特定保険業者の届出でございますが、平成十八年九月末が期限でございました。この際には三百八十九の業者がこの届出を行っておりまして、このうちおおむね四二%に当たる百六十五の業者が廃業を予定しているというふうに申し出ているというところでございます。

○大門実紀史議員 この問題は、与謝野大臣も山本大臣も個別には配慮をすると、いろいろ丁寧に相談に乗りますということで、実際私も幾つかの団体の対応について金融庁に御相談をしておりまして、大変親切に対応してもらっているところで、幾つか調整中のところがございます。
 ただ、全体の数字を今聞きますと、四二%、百六十五の共済団体が廃業ということですけれども、少額短期という方法もあるわけですけれども、いろいろその相談に乗る、配慮をしてもらうということがあったにもかかわらず、結果としてどうして四二%も廃業ということになったのか、なぜこんな事態になっているのか、大臣として今どうお考えか、お聞きしたいと思います。

○山本国務大臣 経過措置期間内の特定保険業者の皆さんは、保険会社又は少額短期保険業者となることを断念した場合次のような対応が求められておりまして、平成二十年四月以降、保険の新規引受けが禁止されてしまいます。その後、二十一年三月末までに他の保険会社又は少額短期保険業者との契約によりまして、保険契約の移転又は業務及び財産の管理の委託を行うことが義務付けられるわけでございます。当該期間内に対応できないやむを得ない事由がある場合は、期間延長の承認を受けた上で、移転等の対応を引き続き行うことが義務付けられるわけでございます。
 特定保険業者の廃業と申しますのは、当局の事前承認が必要でございまして、廃業が承認されるためには以上の対応を経て保険契約の保険会社等への移転等がしっかりなされることが求められるわけでございます。このため、廃業に伴って直ちに契約が打ち切られたり、契約の清算等が行われることはありませんけれども、いずれにしましても、特定保険業者の廃業に当たりましては、保険契約者の不利益とならないよう留意してまいる所存でございます。
 また、先生御指摘の四割という数字、また百六十五業者という数字、これが先ほど申しましたように、直ちに今契約しているものがなくなるというわけではございませんし、その意味では今後なお検討いただけるものというように期待しておるところでございます。

○大門実紀史議員 確かにまだいろいろ確定しておりませんけれども、いずれにせよ、今四割のところが廃業の方向ということは大変な事態だというふうに思います。
 これには小さな団体の負担の問題もありますけれども、私、そもそもこの適用除外の決め方に問題があったんではないかというふうに思います。流れ振り返りますと、これは共済事業者でもいろんなこと起きる、マルチ商法も含めてですね。いろんなことがあって、国民生活センターにも被害が増えて、自主的にやってきたところも破綻をする可能性も出てくるとか、様々な問題があって、契約者保護の観点からこういう共済にも保険業法を適用しようということになって、我が党も契約者保護と消費者保護という流れの中でこの法案には趣旨を賛成したわけですけれども。
 今、中には法改正なんかしなくてもそういう悪質業者は摘発できるんだということをおっしゃる学者の方もいらっしゃいますけれども、私は違うと。それは刑事上の詐欺罪とか、それはできても、行政上やっぱりきちっとした契約者保護を整えるという点では必要な法案だというふうに思うわけです。
 それは変わりませんが、ただ同時に、我が党は、その法案審議の段階から、自主的、健全にやっている相互扶助の共済が現にあると。こういうところに一律の規制を掛けるべきではないということで、もう法案が審議されている最中から議論をしてきたところでございますし、その法案審議の段階でも十分そのことは配慮していると、考えているという答弁が何度もされて、三國谷さんが何度もその後も答弁をされているように、要するに、三國谷さんの言い方によりますと、共済を運営している団体が高い自治性を有していると、つまり高い自治性があるということと、万一破綻しても自分で処理できると、つまり自己処理能力ですね、さらには同質性が高い、つまり契約者の特定性がはっきりしていると、こういう団体は適用除外にしていこうという方向で大体みんなが合意をしていたのがあの段階だったというふうに思います。
 問題は、法案が成立した後、その前後ですけれども、私もそれをどうやって決めるのかというところで、当時金融庁の担当者に何度も私の部屋に来てもらって議論を、相当議論をいたしました。要するに、どう線を引くかということですね、それで基準はどうするかと。
 金融庁の担当者も当時非常に努力していろいろ考えてはくれたんですけれども、しょせん私は役人さんだったなと、残念だったなと思うのは、論理の飛躍が起きるわけです。論理が飛躍しちゃうわけですね。それは先ほど言いました高い自治性、自己処理能力、契約者の特定性を担保する物差しを考え抜くんじゃなくて、そこで思考を停止しちゃって、それを担保するものとしてどういうわけか既存の法制度に位置付けられている団体ということに限ってしまったと。ここに今回いろんな問題を引き起こしている根本があるというふうに思います。
 言ってしまえば、自治性、自己処理能力、契約者の特定性、三拍子そろっている団体でも根拠法を持たない団体は現にあるわけですね。ところが、金融庁がそこに限定したために適用除外にならなかったということでございます。
 逆に言えば、私も労働組合出身で自ら共済事業にかかわり、新しい共済事業もつくった経験がございますけれども。別にですね、既存の法律に定められている団体、労働組合にしろ公務員にしろいろいろなのがありますけれども、別にその法律の中には先ほど言いました共済事業における自治性とか自己処理能力とか契約者の特定性などは何も規定がされておりません。金融庁が勝手に、その法律に入っていればそういうものが担保されると勝手に決めただけで、逆に言えば、法律の方ではそんなこと何も担保する仕組みになっておりません。したがって、それぞれの法律はせいぜい共済事業ができますぐらいのことしか書いていないわけですね。にもかかわらず、金融庁は、既存の法律に位置付けられていれば、先ほど言った三つの物差しが担保されるんだというふうにしちゃったわけですね。
 これは法制度からいうと論理の矛盾があったと思います。そこに、何というか、今回の問題を引き起こしているいろんな大本があるというふうに思いますが、大臣は法律の専門家でございますから、その辺いかがお考えでしょうか。

○山本国務大臣 御指摘の昨年施行されました改正保険業法におきまして、保険契約者を保護し、事業者の健全な運営を確保する観点から、保険契約の相手方が特定か不特定か、営利か非営利かにかかわらず、およそ保険の引受けを行う者を広く必要な規制の対象としたところでございます。
 他方、構成員の自治のみによる監督にゆだねて自己責任を問うことが可能であることが法令上、社会通念上、明らかな団体につきましては、団体の法的位置付けや外延と高い自治性が明確であることを条件に例外的に適用除外としたところでございます。
 今回の改正で新たに保険業法が適用されることとなる団体の中に、長年にわたり有意義な活動を行ってこられたところが多くあることはよく承知しております。保険契約者等の保護のための法改正でございまして、御理解を願いたいと考えるところでございます。
 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、こうした団体ができる限り共済事業を継続できるように、各共済の実情や問題点をよくお伺いしながら引き続ききめ細かくかつ真摯に相談に乗ってまいりたいと思っております。
 先生御指摘のように、オーダーメードでそれぞれの団体に応じた制度を構築するということが可能であればそうしたわけでございましょうし、アプローチとして、こうした少額短期というシンプルな保険形態を設けてできるだけそうした人たちに御利用いただくというアプローチ、そして先ほど申し上げました制度共済のほか、団体共済について既存の保険会社への移行等々で賄い切れない部分について更に検討しなければならないというように考えるところでもございますが、なおまた、施行後一年でございますので、この法律の運用等、あるいはその民間団体や共済団体についてのこれからの行動等を見極めながら慎重に判断していきたいというように考えております。

○大門実紀史議員 もう大臣、その答弁書を読まなくて、私の聞いていることをそのまま答えてもらいたいんです。私が言ってるのは、もう簡単な話なんです。要するに、どういう物差しを決めようかというときに、金融庁は既存の法律にある根拠のある団体にしようと決められたと。言ってみれば、その前からずっと私一緒に議論してきたわけです。
 要するに、先ほど言った三つの基準を満たすようなものが、ただ満たすといっても任意に決められませんから、それを客観的な物差しとして示すようなものがほかにあれば、それがつくれれば、別に既存の法律を持ってこなくてもよかったんではないかと。つまり、その客観的な物差しがほかにあれば別にいい話ではないかと。基本的にはそういう話じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○山本国務大臣 その客観的な物差しで区分し、利用者保護が完全にできるというように考える具体案をお示しいただいて、それをともに検討するという作業が、政府の中で始める以前に各政党同士で始めていただくという手法が今後健全な保険のありようを決めていくのではないかというようにまずは思います。
 そして、私もこの経過についてつぶさに全部承知しているわけではございませんが、各無認可共済における不適切な事例、あるいは犯罪的事例というものが多発する中で、今後どういう形で国民の消費者保護の観点を全うしていくかという点においては、この方法が考えられる当時の最大限のものであるというように私の方は受け止めておりますので、そうしたことを含めて、今後改正点があるならば、先ほどのように、先生の、基準に合わせていくというようなことのもう一つ先の具体例、こういったものをちょうだいできれば有り難いなと思っています。

○大門実紀史議員 じゃ、私がその物差しをお示ししたら、それは研究していただけますか。

○山本国務大臣 まずは私個人で研究していきたいというように思っています。

○大門実紀史議員 じゃ、お示しをしていきたいと思います。
 いずれにせよ、金融庁としても、申し上げたいのは、もうここまで、与党の中でも何とかしろよという話になって、大問題になってきているわけですから、そもそものその物差しのところで私だけじゃなくていろんな方の知恵も集めて研究をしてほしいと、もうこれですべて決まりで何とかやれというんじゃなくて、ここまで大問題になっていますから、そういう物差しについての研究を続けてほしいと、それだけお聞きすれば、後、私も提案したいと思いますので、最後に一言、それだけお聞きしたいと思います。

○山本国務大臣 研究をしてまいりたいと思っております。

○大門実紀史議員 終わります。