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○鈴木(克)委員 それでは、また別の角度で質問をさせていただきますが、保険業法について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 御案内のように、昨年四月に施行されました改正保険業法によって、今までの自主共済が非常に苦境というのか、大変な状況になっておるというのは、もう既に我が党の馬淵委員なんかの御指摘もあったわけでありますけれども、現状、御案内のように、来年三月末の締め切りに向けて、保険会社ないし少額短期保険業者に移行するか解散するか、いわゆる選択を迫られておるということでございます。
 多くの助け合い共済が、法の求める高いハードルをクリアすることが非常に困難だ、そしてやむを得ず解散をしているというような状況があるというふうに聞いておりますが、現在移行手続の進捗状況、そして、それに対する、金融庁が今どのようにお考えになっておるのか、その辺のところをまずお聞かせいただきたいと思います。

○佐藤政府参考人 御指摘いただきました特定保険業者の届け出でございますが、これは平成十八年九月末が期限であったわけでございまして、この際、三百八十九の業者が届け出を行っております。この際のヒアリング結果によりますと、保険会社に移行する予定の業者が十一、少額短期保険業者として登録申請を予定している者が百三十一、廃業予定の者が百六十五、方針未定の者が八十二ということでございました。
 これに対しまして六月十二日現在の状況でございますが、少額短期保険業者として当局に登録が行われている件数は二件でございます。また、当局が特定保険業者の廃業承認を行った件数、これは十九年三月末時点で四件となっております。
 少額短期保険業者として登録を行うかどうか、あるいは登録の時期等の判断は、法令の枠組みの中で特定保険業者自身が自主的な判断により行うべきものでありますけれども、当局といたしましては、特定保険業者が少額短期保険業者に円滑に移行できるよう、特定保険業者を監督する各財務局に対しまして、昨年の十一月八日付で、少額短期保険業者向けの監督指針に基づき、特定保険業者の実態に即して相談等に応じるよう指示をしたところでございます。
 今後とも、少額短期保険業者制度への円滑な移行及び保険契約者等の保護の観点から、この状況を注意深くフォローしてまいりたいと思います。

○鈴木(克)委員 くどくなりますけれども、ここにありますいろいろな資料等で、「互助会、共済 次々解散」とか、改正保険業は悪徳業者排除のはずなんだけれども、どうして我々が犠牲にならなきゃならないのかとか、「弱者の共済 消滅の危機」とか、いろいろな報道がなされております。
 あえてちょっとお時間をいただいて、山岳会なんですけれども、一つのある方のお話を御紹介させていただきますけれども、私が入会している山岳会が加盟する勤労者山岳連盟では、遭難対策として互助制度による遭難対策基金を設けています。この制度が改正保険業法の施行によりピンチに陥ったと聞き、説明を受けましたが、よく理解できませんでした。その後、本紙記事の「互助会、共済 次々解散」を読み、よくわかりました。これは政治のミスと気がつきました。山岳遭難には多額の費用がかかることもあり、少額のお金を出し合い、万一に備えることは普通の知恵だと思います。勤労者山岳連盟では、残余金を使い雪崩防止講習会を開くなど、積極的な遭難防止に取り組み、成果を上げています。この法律改正で、障害者団体や中小企業者、PTAなど、多くの団体が困った状況に追い込まれていることを知りました。これは大変な政治のミスですということでございます。
 くどくなりますけれども、こういう中で、昨年十月の本委員会で、我が党の馬淵委員の質問に対して山本大臣はこのようにおっしゃったわけですね。助け合い共済について、「必要性、本当にこれで改めて感じた」「非常にいいことをやっておられるというように改めて認識した」と、政治家として素直な気持ちをお述べになりました。
 危機に直面した助け合い共済を救済するために大臣として政治的リーダーシップを発揮していただく、そういうお気持ちはないかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。

○山本国務大臣 昨年施行されました改正保険業法におきましては、保険契約者等を保護し、事業者の健全な運営を確保する観点から、営利か非営利か、保険契約の相手方が特定か不特定かにかかわらず、およそ保険の引き受けを行う者を広く必要な規制の対象としたところでございます。
 昨年の改正で新たに保険業法が適用されることとなった団体の中に、長年にわたり有意義な活動を行ってこられたところも多くあることは承知しております。保険契約者等の保護のための法改正であり、御理解を願いたいと考えております。
 いずれにいたしましても、こうした団体ができる限り共済事業を継続できますように、また、少なくとも契約者にとって必要な保障を継続できますように、各共済の実情や問題点をよくお伺いしながら、引き続き、きめ細かく、かつ真摯に相談に乗ってまいりたいと考えるところでございます。

○鈴木(克)委員 くどくなりますけれども、保険業法の改正は、もともとは、いわゆる共済の名をかたる悪徳保険業者の規制というのが目的であったというふうに思います。それがこのように意図しない方向に傾いた背景には、日本市場に進出を図ろうとする米国保険会社の意向を受けた在日アメリカ商工会議所、米商工会議所の意見書があるんではないか、このように実は私は思うわけでありますが、なかなか御答弁しにくいかもしれませんけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年施行されました保険業法の改正に当たりましては、金融審議会で幅広い御議論をいただいたことに加えまして、金融審議会の論点整理及び法案成立後の政省令案につきましてパブリックコメントを募集するなど、幅広い意見聴取に努めたところでございます。
 こうした過程において、御指摘の在日米国商工会議所からは、審議会報告の段階において、共済に対しても一般の免許を受けた保険会社と同レベルの規制を適用すべきとの要望があり、また、政省令案の段階において、少額短期保険業制度の内容そのものについて否定的なコメントがあったところでございますが、いずれにいたしましても、本法案は、保険契約者等を保護し、事業者の健全な運営を確保する観点から行っているものでございます。
 このように、私どもは、法案の趣旨につきましては契約者の保護という観点から行っているものでございまして、そういった在日米国商工会議所からの要望書を受けて行っているというようなものではございません。

○鈴木(克)委員 当然そういうようなお答えになるのではないかなというふうに思っておったわけでありますが、いずれにいたしましても、法改正当時、助け合い共済の関係者は、法改正の目的というのはオレンジ共済のようないわゆる悪質な業者の規制を意図するものだ、自分たちは当然適用除外になるんだ、このように信じてみえたわけでありますが、結果的に、保険業と区別するために法律上どこかで厳格に線を引かなきゃならない。このことは実はわからないわけではありませんけれども、私どもは今、何とかこの草の根的な、営利目的でない助け合い共済を保険業法の適用除外とできないかというふうに考えて、先般、法律案を国会に提出させていただいたところでございます。ぜひ、政府・与党としても、我が党案提出の趣旨に賛同して、この問題についてもう一度御再考いただくというお考えはないかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

○山本国務大臣 昨年施行されました改正保険業法におきましては、構成員の自治のみによる監督にゆだねて自己責任を問うことが可能であることが法令上、社会通念上明らかな団体を例外的に適用除外しているところでございます。
 具体的に申し上げれば、共済を運営している団体が一つの企業であるとか一つの学校であるとか、高い自治性がそこに存在するわけでございます。もう一つは、団体の位置づけ、外延が既存の法制度上明確であること。この両要件を満たすものに限って適用除外を認めております。そうでないと、たまたま入った人が期待外れの結果に陥るということになるわけでありまして、利用者保護、消費者保護の観点からすると、こうした厳格な要件を求めるということは、将来の不安や、事故を未然に防ぐということにつながるわけでございます。
 保険業法の適用除外に該当するか否かにつきましては、刑事罰の適用に直結するものでございます。規制の明確性、実効性が求められますことから、適用除外となる団体の範囲を明確にしているということは合理的なものであると考えております。
 他方、昨年の改正で新たに保険業法が適用されることとなった団体の中に、長年にわたりまして有意義な活動を行ってこられたところも多くあることは、先ほど来から申し上げておりますとおり承知しておりますけれども、こうした団体ができる限り共済事業を継続できますように、また、少なくとも契約者にとって必要な保障を継続できますように、各共済の実情や問題点をよくお伺いしながら、引き続き、きめ細かくかつ真摯に相談に乗ってまいりたいと思っております。
 また、委員の御指摘のように、民主党の提出に成る保険業法の改正案に対してもう一回考え直してみたらというように御質問ございましたが、まさにこういった点の、団体に対する明確性、構成員に対する明確性、こうしたことについて歩み寄りをするための検討はまたいたしますものの、今直ちにこの法案について賛同するということは、私の立場からは少し無理がございます。

○鈴木(克)委員 釈迦に説法というかあれですけれども、自主共済がいわゆる営利を追求して保険会社と競争するというのは、これはもう本質的に無理なことだと私は思っております。と同時に、もう既に解散の意向を固めた自主共済に対して、要するに収益が上がる部分に限定して商品化を図って、売り込み攻勢をかけている保険会社もあるんですね。だから、本当に今、そういう意味では、どんどんなし崩し的に、部分的に問題が発生してきておるというのが実情でございます。
 今大臣は、相談に乗るというふうに言っていただいたわけでありますが、では具体的にどういう形で相談に乗っていただけるのか、その辺の姿というものをお示しいただくわけにはいきませんでしょうか。

○山本国務大臣 要は、先ほど申し上げました、不特定な者に対する保険商品の売却というものに対しては、完全に保険業法の適用にならないと、将来の不安を払拭できません。ですから、不特定でないということを明確にしていただかなきゃなりません。そのときに、法律の根拠が明確にあれば結構なんですが、そうでなければ、要は何か事故があったときに、この団体に所属しているから私は拠出した保険金が返らなくてもいい、あるいは期待したようなとおりにならなくてもいいという、あきらめ的なその団体のクローズとなったメンバーシップ、そういったものを要求されるわけでございます。それが、単にペットを飼っていますからということだけで保険業法の適用除外の共済ということになるならば、少額短期でお願いしたいということにおいては、むしろ、将来の不安のために、利用者保護の観点からしたら、当然の要件をお願いしているということになるわけでございます。
 そこで、まさに委員に対しては釈迦に説法でございますが、どうかひとつ、そうした外延を明確にしていただく、メンバーシップについてより明確な外延を形づくっていただく。現行法制度の中で工夫をいただいて、その点においてぜひとも御理解をちょうだいしたいというような意味での真摯な協議を今事務方でやっていて、窓口では一生懸命お互いが協議に頑張っていただいていると承知しておるところでございます。

○鈴木(克)委員 もう一度申し上げますけれども、多くの助け合い共済にとって、適用除外を受けられないということはまさに青天のへきれきだったというふうに思います。そのような自主共済の中には、今も適用除外を訴えて、あえて金融庁への届け出を見合わせている共済も少なくない、このように実は聞いておるわけであります。
 我が党案に賛成は立場上非常に難しい、今こういうことをおっしゃったわけでありますが、であるならば、せめて来年の三月末の届け出の期限をもう少し延長していただく、こういうことを私は政府としてお考えをいただきたいというふうに思いますが、このことについてはいかがでしょうか。

○山本国務大臣 平成十八年四月に施行されました改正保険業法におきましては、それまで共済を実施してきました団体につきまして、激変緩和の観点から一定の猶予期間を設けております。具体的には、これらの団体は、平成十八年九月末までに特定保険業者としての届け出を行った上で、平成二十年三月末までに少額短期保険業者としての登録申請等を行わなければならないというようにされているところでございます。
 改正保険業法は、いわゆる根拠法のない共済につきまして、契約者の保護を図ることを目的とするものでございまして、金融庁といたしましては、各団体に猶予期間を有効に活用いただいた上で、予定どおり平成二十年四月に改正保険業法を本格施行することが必要だと考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、各団体ができる限り共済事業を継続できるよう努力したいと思っておりますので、どうか御理解をよろしくお願い申し上げます。