「共済の今日と未来を考える東京懇話会」が結成1周年を記念し、学習講演決起集会を開催。76人が参加しました。


 「共済の今日と未来を考える東京懇話会」(以下、東京懇話会)は9月10日、「結成1周年記念学習会―共済の未来を考えよう!!」と題して、学習講演と今後の運動と行動計画について意思を統一する決起集会を開催。76人が参加しました。
 ここでは、この日の集いの模様をかいつまんでご紹介します。

◎情勢を大きく切り拓く決起の場にしよう
 東京懇話会を代表して安部誠三郎さん(東京商工団体連合会理事長)が開会挨拶。会結成1周年を記念したこの集いで、結成からこれまでの東京懇話会の自主共済を守る活動との到達点を再確認するとともに、全国懇話会の活動経験や、押尾直志教授を講師に招いての「共済をめぐる情勢と展望」を学習して、情勢をさらに大きく切り拓く闘いへの決起の場にしようと訴えました。


◎東京懇話会の1年間の活動報告
 開会挨拶に続いて、佐藤菜穂子さん(東京保険医協会事務局員)から「東京懇話会の1年間の活動報告」が行われました。
 佐藤さんは、2007年3月22日に行われた「『東京懇話会』立ち上げ準備会」から1周年記念学習会までの、実に克明に記録された東京懇話会の活動史ともいうべき資料をもとに報告。準備会の段階で、東京選出国会議員への「自主共済を新保険業不の適用除外とする議員立法を制定することについての賛同を求めるアンケート」を実施したことや、国会請願行動、2007年6月6日の「『共済の今日と未来を考える東京懇話会』結成総会&学習会」の開催(呼びかけ5団体)など、多彩で積極的な1年間の活動が参加者の中で共有されました。

◎運動の前進に確信を持ち、国民的運動へ
 「共済の今日と未来を考える懇話会」(以下、全国懇話会)からは、全国懇話会を代表して斉藤義孝さん(日本勤労者山岳連盟理事長)が報告に立ちました。
 斉藤さんは、「共済を守るこれまでのたたかいと今後の方向について」と題して、自主共済を守る全国懇話会の活動を中心に、右下枠内の柱で報告されました。中でも報告レジュメの3項に係る部分では、1)第1段階;2005年12月の全国懇話会結成から2006年前半までの時期、2)第2段階;2006年後半から2007年3月末までの時期(目的を国会での議員立法に明確に定めた)、3)第3段階;2007年4月から2008年3月末までの時期(運動の全国的な広がり、自主共済以外へも運動の波及と共同の進展、4)第4段階;2008年4月から今日まで(「経過措置期間」終了後のたたかい。国民的な運動へと発展を期すべき時期)に分けて、運動の到達点を確認し、今後の運動への展望が示されました。

1.保険業法改正の背景と経過(以下、新保険業法と呼ぶ)
2.新保険業法の内容と真の目的
3.「共済の今日と未来を考える懇話会」と自主共済のたたかい
4.懇話会と自主共済のたたかいの特徴と意義
5.適用除外の闘いの展望と課題


 全国で取り組まれている自主共済を守る運動は、新保険業法の持つ問題点を浮き彫りにするとともに、国会では与野党国会議員に理解と賛同を広げて、3度に亘る議員立法の提出を実現。3度目は、与党の支持・賛同を得るまでには至りませんでしたが、民主・共産・社民・国新の四野党と無所属議員が共同する党派を超えた議員立法になりました。また、各地での地域版「懇話会」の奮闘で、自主共済を新保険業法の適用除外にするよう国に求める意見書が、この日までに122自治体で採択されたことも報告されました。
 斉藤さんは、これまで粘り強く続けられてきた運動とその進展について確信にする必要を指摘するとともに、その一方で、国民運動になりきれていないことへの反省と、自主共済を新保険業法の適用除外とするために、さらに運動の輪を一回りもふた回りも広げる必要を強調しました。そのために全国懇話会と東京懇話会をはじめ、全国各地の地域版懇話会が一致協力して、自主共済を守りぬくたたかいを広げようと訴えました。
 適用除外を実現させることは、自主共済運営団体だけでなく、現在「当分の間」現行の取扱いが認められている公益法人、適用除外となっている労働組合、さらには新保険業法第2条第1項「他の法律に特別に定めのあるもの」、いわゆる制度共済団体を含めた共済を守る上できわめて重要な意味を持っていると強調しました。

◎「共済めぐる情勢と展望」-違いを超えて全ての共済は大同団結を!国民の中に運動への理解と支持を広げよう!!
 この日の集いの記念講演については、押尾直志明治大学教授を講師に招いて、「共済をめぐる情勢と展望」と題して行われました(別紙レジュメご参照)。
 押尾さんは講演の中で、「消費者保護」を大義名分にして改定された新保険業法は、仲間同士の助け合いの自主共済を規制して制度運営を困難に陥れるとともに、適用除外と称して協同組合共済や労働組合共済など、根拠法のある共済まで事実上、保険業法に取り込んでしまったと説明。保険・共済一元的規制への動きは、2005年の農業協同組合法の改定をはじめとして各種協同組合法が相次いで保険業法に準拠した内容で見直されたことにも表れていると指摘しました。
 また、保険法の見直しにおいては、保険会社の性格をあいまいにし、協同組合や非営利・協同自治組織が行う共済の特質、社会的意義・役割を正しく法律に反映しなかった。さらに保険業界での相次ぐ経営破たんや今般の不払い問題など、契約者優先の経営姿勢の欠如と反社会的なずさんな保険事業の展開こそ厳しく規制されなければならず、保険会社の社会的使命に反する事態を許した保険監督行政にも大きな問題があると批判しました。こうした保険事業の展開や各社の経営姿勢、監督行政を許してきたことは、消費者・国民の生活と権利を守るために、現在及び将来の保障となる保険事業、保険業界や行政への監視と批判、さらには社会保障をはじめ、人々のいのちとくらしを守るために政府の施策や行政に積極的に働きかけることなど、共済が本来発揮するべき役割を共済団体が果たしてこなかったことにも原因がある、と指摘し大いに反省するべきだと訴えました。
 また、自主共済をはじめ共済全体に対する保険事業との一元的規制、共済そのものをイコールフッティングの中で淘汰しようとする動きが強められている中で、そのことに対する危機意識の共有をはじめ、国民・消費者の中に理解と協力を広げる姿勢や運動も弱かったのではないか、と指摘。今こそ、そうした反省にたち、国民的な視野からの幅広い運動を構築するときであると訴えました。
 押尾さんは、共済規制の最前線に立たされた自主共済自体も弱点や問題点を十分見据え、反省して国民の中に運動を広げていくときであるし、防波堤になっている自主共済を守り抜くために労働組合や協同組合など制度共済の団体が一緒になって運動すること。そして日本社会の中で共済を守り抜くためにも、違いを越えて共済は大同団結して立ち向かわなければならないと強く訴えました。

◎共済を運営する各組織を超えて、市民と手をつなぎ、自主共済の適用除外実現、共済は守り抜く大きな運動を巻き起こそう!!
 最後に、平山和雄さん(東京地方労働組合評議会副議長)から閉会挨拶がありました。平山さんは、現在適用除外となっている労働組合も、次の保険業法改定への危機感をもって臨んでいると説明。労働組合共済、協同組合共済を含めて日本社会の共済そのものを守り抜くために、いま新保険業法の規制という大波にさらされている自主共済を何としても守り抜くための適用除外要求運動に参加していることを紹介しました。そして、あらゆる共済が今こそ一致団結して、自主共済を守る大運動に参加することが必要と強調しました。
 また、記念講演の中で指摘された、組織内だけの閉鎖的な運動にならないように、との注意の呼びかけを念頭に、加入者・組合員に理解と協力・参加が得られる運動、そして、さらに幅広く市民に理解と協力、支持される運動に発展させられるよう、今後とも全力で取り組んでいきたいと決意を表明しました。その上で、本日の東京懇話会結成1周年を記念集会で確認された、東京懇話会の一年間の活動の到達点をふまえ、全国懇話会や他府県の地域版懇話会のみなさん、市民のみなさんと手を携え協力して、共済規制を跳ね返すため、情勢をさらに大きく切り拓く闘いを展開していきましょうと訴え、締めくくりました。