与野党が共同して自主共済を救済するため、
実効ある措置を早急に講じるよう要求する
私たちは、自営商工業者、医療関係者、登山者など、さまざまな分野で活動する団体が、会員を対象に実施している共済や互助会制度を守るため共同して結成した「共済の今日と未来を考える懇話会」(以下、「懇話会」)と申します。
私たちはこの間、第162 通常国会で「契約者保護」を目的と称して法改正された新保険業法により、共済や互助会制度の継続が困難になり、次々制度廃止に追い込まれている下で、法改正を求めて各政党、与野党国会議員、金融庁への陳情や広範な団体との対話を広げてきました。そして、自主共済が従前どおり健全に運営できるよう、新保険業法の適用除外と、今年3 月31 日までを期限とする「経過措置期間」の延長を直ちに実現するよう求め続けてきました。その結果、新保険業法施行後の毎回の国会で、与野党国会議員から自主共済の継続を保障する必要性を強く主張していただき、金融担当大臣からも積極的な対応を行う旨の答弁が重ねられ、新保険業法の「経過措置期間」延長の必要についても与野党国会議員からご理解と力強い支援を寄せいただきました。
3 月24 日には、民主党、共産党、社民党、国民新党の四野党と無所属議員が共同して新保険業法の見直しを求める法律案を参議院事務総長に提出されました。私たち「懇話会」は、この共同提案を大きな前進として評価します。同時に、自主共済を守るための新保険業法の見直しと適用除外、「経過措置期間」の延長を実現する力は、与野党が一致した先にあり、与野党が共同して実現することこそが国会の権威を取り戻し、国会の責任を果たす唯一の方法だと考えています。
日本国憲法は、国会を「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と規定しています。立法府である国会は、主権者である国民の意思を最も直接に代表するものでなければなりません。今回のように、主権者である国民自身が、国会が制定した改正法(新保険業法)により、自ら育んできた助け合い制度の継続が困難になる事態に直面しているだけに、国会の責任として与野党が共同して問題の解消にあたることは憲法が定めた国権の最高機関として当然の責務です。
今回の法改正の端緒をつくった消費者被害は、「共済」の名を冠した無届保険業者が不特定多数の者に営業していたことによって発生しました。こうした営利業者への規制は、旧大蔵省時代に出版された「コンメンタール保険業法」、及び金融庁関係者が編纂、出版した「保険業法Q&A 小額短期保険業のポイント」の中で、法改正がなくても保険業法で規制できたと説明しています。
国民生活センターへ寄せられた苦情など、消費者被害をもたらしたのは、「共済」の名を冠して不特定多数の者を相手方として無届で保険業を行ってきた営利業者によるものであり、これらへの規制は厳格に行われるべきです。しかし、自主共済の存続の危機を招いている新保険業法による規制問題は、それ自体が法改正の重大な過失であり、直ちに是正されなければなりません。
マスコミ関係者の中には、4 月1 日以降、共済や互助会制度がなくなることで、加入者にどのような被害が起きるのか分からないと言われる方もおられます。金融庁から、団体の中には、誤解にもとづいて少額短期保険業者制度に乗ることは無理だと思い込みを持っているところもある、保険会社に協力を求めている、などの説明を受けているからかもしれません。しかし、これらの説明は、具体的な根拠を何も示さず、行政の仕事を他者に押し付けて責任ある対応を回避していることが特徴であり、注意が必要です。根拠も不明、責任もとらない説明を鵜呑みにして、自らの疑問が解消
されないことを理由に新保険業法それ自体の問題点に目をつぶり、ただ規制が必要だとする報道を続けることは、事態を一層深刻にするだけです。共済や互助会制度が破壊・解散させられて発生する被害は、国民のいのちとくらしに直結しているだけに、実際に被害が発生してからでは手遅れであり、取り返しのつかない深刻な事態を引き起こすことが予想されます。
各団体が会員の福利厚生を目的に実施する共済制度は、名称や仕組みなど違いはあっても、各構成員の切実な要望をふまえて創設され、今日まで運営実績を積み重ね、健全に運営されてきました。
私たち「懇話会」は、これら自主共済の救済のために与野党が一致して実効ある措置を早急に講じるよう強く要望するとともに、最後までその実現を目指して奮闘する決意を表明します。
2008 年4 月1 日共済の今日と未来を考える懇話会
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